加齢肌とスキンケア

加齢肌とスキンケア

肌老化と女性ホルモン

今回は、加齢に伴って変化する女性の肌について考えてみましょう。加齢とともにシミ、シワ、タルミなどが生じてきますが、このような老徴と呼ばれる肌の衰えの20%は自然老化、すなわち誰もが経験する肌の老化です。残りの80%は太陽光線が原因で起こる変化で、光老化と呼ばれます。光老化についてはVol.1 2020.MAY「光皮膚科学最前線-紫外線、そして近赤外線にも注意 」で触れていますので参照いただくとして、ここでは自然老化による肌の変化について解説します。
自然老化、言わば内からの老化に最も関係するのは女性ホルモンです。女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がありますが、どちらも女性の美と健康に密接に関わっています。特にエストロゲンは美肌ホルモンとも呼ばれています。生理前にニキビや肌荒れで悩む人が多いと思いますが、生理前にはエストロゲンが徐々に低下し、プロゲステロンが優位になるためにこのような症状がみられるのです。

肌老化はホルモンの変化が原因

女性の生涯とホルモンの関係をみますと、エストロゲンが思春期に上昇し始めると月経がはじまり、20代から30代をピークにエストロゲンの減少が始まり、50代前半での閉経につながります。エストロゲンは肌だけではなく、血流改善、乳腺の発達、自律神経の安定、免疫力強化、骨を丈夫に保つ、善玉コレステロールを増やすなどの働きがあり、女性の全身の健康に直結しています。肌においても様々なプラスの作用を持っているのですが、40代からのエストロゲン減少に伴って起こってくる肌の衰えでその作用の大きさを実感するのです。

エストロゲンが加齢に伴い減少すると、頭髪が薄くなり、血色の悪い肌になり、肌の張りが減って、小じわが増えて、唇に厚みが無くなってきます。これらの症状は、女性なら誰しも経験する、避けようがない変化です。エストロゲン補充療法が美容目的で行われることもありますが、十分な効果が得られるとも限らず、副作用を考えると安易に行うことは避けるべきです。それよりは、化粧品を上手に使用することにより、艶やかな肌、乾燥ジワのない肌、小じわが目立たない肌をまずは目指すべきです。保湿成分、美白成分、肌の張り成分が含まれた化粧品を継続使用することが大切です。

川島 眞
株式会社アクシージア 皮膚科学顧問
川島 眞 かわしま まこと
東京女子医科大学名誉教授
日本コスメティック協会理事長
  • 1978年 東京大学 医学部医学科卒業
  • 1984年 フランス パリ市 バスツール研究所乳頭腫ウイルス部
  • 1986年 東京大学 皮膚科講師
  • 1992年 東京女子医科大学 皮膚科 主任教授
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